「村の鍛冶屋(かじや)」

作詞作曲不詳/文部省唱歌(四年)


暫時もやまずに 槌うつ響。
飛び散る火の花、はしる湯玉
ふいごの風さえ 息をも継(つ)がず、
仕事に精出す 村の鍛冶屋。

あるじは名高き イッコク老爺、
早起・早寝の、病知らず。
鉄より堅しと ほこれる腕に
勝りて堅きは、彼がこころ。

刀はうたねど、大鎌・小鎌、
馬鍬に作鍬、鋤(すき)よ、鉈(なた)よ。
平和のうち物 休まずうちて、
日毎に戦う、懶惰(らんだ)の敵と。

かせぐにおいつく 貧乏なくて、
名物鍛冶屋は 日日に繁昌。
あたりに類なき 仕事のほまれ、
槌うつ響に まして高し。

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