文集「えのき」の第2巻発行にさきがけて送られてきた原稿を披露します

昭和33年1月20日午前11時42分 大きな産声と ともに私たちの待望のベビーが産まれました。 産声とともに知らず知らず嬉しさが胸にこみ上げてくる。 今生まれたものと思われないくらいに肉付きもよく元気だ、女子平均体重よりも軽くオーバー前から考えていた通り「ひとみ」と名付ける。 「ひとみちゃん」「ひとみちゃん」何度呼んでもあきない。

私はこの名をこれからの生涯に何回も呼ぶことだろう。一週間の病院での生活1ヶ月の里での生活を終えて3月に我がスイートホームに帰る。 ベビーのおもちゃを飾ると急に我が家が明るくなる。 おむつ洗いと子守の忙しい毎日でも張り合いのある日々! お乳をうんと飲んでいっぱいに満ち足りた瞳嬉しそうな顔口から甘いお乳の香りが漂う。 思わずこの子が健やかに育ちますようにと祈る心で抱きしめる。 外へ出ても「ひとみ」のことが気づかわれ思うように買い物もできず困ったものだった。 細心の注意をはらいながらいっぱいのオモユ野菜スープを与え始める。 その度ベンを見ては段々と進めて行く、このようにして私も育てられたのだと子供を持って初めて母のありがたみをつくづく思う。 最近ではウマーウマー ・ブーブ・チャッチャッよく聞き分けよく話す、 記憶もかなり長く続くようになった社会性も出てきて今まで無関心だった赤ちゃん同士でも一緒に遊べるようになってきた。 今ではもうあゆみを始め可愛さも一段と増してきたもう立派な家族の一員であるそうなると一層忙しいですが我々に笑いと希望に満ちているこの豊かさに今更ながら驚いている。 これからは細心の注意と深い慈愛をもって保育に万全を期したいと考えずにはいられない。 自分がどんなに守られているかをさえ知らずに満足そのものの中に生きている私達の瞳あの私の手を離れ逞しく歩み出すその時私はにとってそれは何にも勝る大きな喜びとなるだろう。                                                                                                      今大路秀子