山小舎の灯

近江俊郎


1 たそがれの灯は ほのかに点りて
  懐かしき山小舎は ふもとの小径よ
  想い出の窓に寄り 君をしのべば
  風は過ぎし日の 歌をばささやくよ

2 暮れ行くは白馬か 穂高はあかねよ
  樺の木のほの白き 影も薄れ行く
  寂しさに君呼べど わが声空しく
  はるか谷間より こだまは帰り来る

3 山小舎の灯は 今宵も点りて
  一人聞くせせらぎも 静かにふけゆく
  憧れは若き日の 夢をのせて
  夕べ星のごと み空に群れとぶよ


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