我は海の子
1910年(明治43年)に『尋常小学読本唱歌』で発表された文部省唱歌。


われは海の子白浪(しらなみ)の
騒ぐ磯辺の松原に
煙たなびく苫屋(とまや)こそ
我がなつかしき住家(すみか)なれ

二、
生まれて潮に浴(ゆあみ)して
浪(なみ)を子守の歌と聞き
千里寄せくる海の気(き)を
吸いて童(わらべ)となりにけり

三、
高く鼻つく磯の香に
不断の花の香(かおり)あり
渚(なぎさ)の松に吹く風を
いみじき楽(がく)と我は聞く

四、
丈余の櫓櫂(ろかい)操りて
行手(ゆくて)定めぬ浪枕(なみまくら)
百尋千尋(ももひろちひろ)海の底
遊びなれたる庭広し

五、
幾年(いくとせ)ここに鍛えたる
鉄より堅き腕(かいな)あり
吹く潮風に黒みたる
肌は赤銅(しゃくどう)さながらに

六、
浪(なみ)に漂う氷山も
来たらば来れ恐れんや
海巻き上ぐる竜巻も
起こらば起これ驚かじ

七、
いで大船(おおぶね)を乗出(のりだ)して
我は拾わん海の富
いで軍艦に乗り組みて
我は護らん海の国

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