鈴蘭かなし

奈良光枝

鈴蘭かなし 丘はくれて
人目にはぐれる 熱い涙
この風やめば吹かなあな    
つきよし共に君の心

きなたの京都ひとり泣いて
友は都の君の姿
たおればさあぎす花はおぼれ
移りば浜松 胸は痛む

夜ごとの夢に浮かぶ君に
つれなく隔てぬ恋の定め
届かぬ方にさめたうたさ
城なき友をと風にむせぶ


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