西湖の月

小野 巡

なくは虫の音草枯れて
霧は戎衣を濡らせども
還らぬ戦友は今何処
西湖の月よ答えかし


亡き戦友を偲びつつ
君が形見の尺八を
手に取り吹けば打ち寄せる
小波悲し西湖畔

海を渡る連しょう
百万の兵
雄山 楽々
湖上を圧す

杭州湾の上陸に

死なば共にと誓ったが

不覚や俺は未だ生きて
戦火の跡に銃を執る


戻る