中川順子 甍(いらか)の波と 雲の波 重なる波の 中空(なかぞら)を 橘(たちばな)かおる 朝風に 高く泳ぐや 鯉のぼり 開ける広き 其の口に 舟をも呑(の)まん 様見えて ゆたかに振(ふる)う 尾鰭(おひれ)には 物に動ぜぬ姿あり 百瀬(ももせ)の滝を 登りなば 忽(たちま)ち竜に なりぬべき わが身に似よや 男子(おのこご)と 空に躍るや 鯉のぼり 戻る